REDSエージェント、宅建士の近藤です。土地を買って家を建てるとき、中古の戸建て住宅を購入するとき、「旗竿地」という土地に出くわすことがあります。読み方は【はたざおち】。旗竿地を買って後悔した人からは「買うな」とか「やめとけ」なんて言われた方もいるかもしれません。そんな旗竿地についてメリットとデメリットの両面を解説します」。
旗竿地とは?
「旗竿地」は、その名のとおり、旗竿のような形状の土地であり、道路に接する路地部分が細長く、奥にまとまった敷地がある形状の土地を指します。「路地状敷地(ろじじょうしきち)」や「敷地延長(しきちえんちょう)」などと呼ばれることもあります。
旗竿地の多くが、整形地を分割してできたもので、単純に分割すると接道義務を満たさない土地に通路部分を設けることで建築基準法を満たしています。
旗竿地のメリット・デメリットについて
旗竿地を購入するメリット・デメリットについて解説していきたいと思います。旗竿地は、不整形な形状をしているため、「使いにくそう」「売れないのでは」「買うな」「やめとけ」などと言われることも少なくありません。
しかし、旗竿地ならではのメリットをうまく活用していただければ、快適な住環境を作ることができます。まずは、旗竿地のメリット・デメリットをしっかり理解することが大切です。
メリット1:土地価格が安い
旗竿地の最大のメリットは、整形地と比較して土地価格が安いことです。旗竿地の土地価格は、面積や立地などの条件が似ている整形地の7~8割程度となることが一般的です。そのため、地価が高く人気のエリアでも、旗竿地であれば比較的購入しやすくなります。土地の値段を抑えることができると、その分建物などにコストを掛けることができるので、嬉しいポイントです。
メリット2:防犯性とプライバシーが高い
旗竿地は、防犯性が高く、プライバシーが確保されています。道路に面している土地ですと、様々な人の往来があり視線が気になりますが、中に入り込んだ旗竿地ですと、そのような視線を気にする必要がありません。また、玄関へのアプローチ(路地上部分)に、隣地の目があるため、侵入者を拒むことができます。
メリット3:静かな住環境
旗竿地は道路から少し奥まっており、道路からの騒音などが届きづらいため、比較的静かに暮らすことができます。
デメリット1:日当たり・風通しに工夫が必要
旗竿地は、住宅密集地の一角にあることが多く、周囲の整形地と比べて日当たりや風通しが悪くなる傾向にあります。特に1階部分に日が入りにくいため、家族団らんの場所であるリビングを2階に持ってくることや、吹き抜けや天窓を設けるなどして日当たりをカバーすることができます。
デメリット2:建築コスト・インフラ整備コストがかかりやすい
土地の開口部や路地が狭い場合、大きい工事車両が奥まで入れずに作業量が増えてしまい、建築コストや工期が増すことがあります。また、新しく水道・電気・ガスなどのインフラ設備を通す場合、引き込み距離が長くなることが多く、インフラ整備工事にコストや時間がかかりやすくなります。
旗竿地を購入する際のチェックポイント
旗竿地には注意点があるものの、ポイントを押さえるとよい立地となります。
チェックポイント1:接道義務
建築基準法(第42条・43条)では、建築物の敷地は「幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接しなければならない」(都市計画区域外を除く)とされています。これを接道義務といいますが、この条件を満たさない限り、建物は建てられません。
旗竿地の場合は路地全体にも2メートル以上の幅が必要なため、接道部分が2メートル以上でも路地の全体または一部の幅が狭いと建築基準法を満たせません。また、建築基準法以外でも、各自治体によっては、防災上などの理由から、路地状部分の長さによって、路地状部分の幅を2メートル以上に設定していることがあります。
また、古い旗竿地などの場合は接道義務を満たしていない「再建築不可物件」と呼ばれる建物が建っていることもあります。現状住むことは問題ありませんが、基本的には一度解体してしまうと再び建物を建てることができませんので、十分に確認が必要です。
チェックポイント2:路地上部分の幅は十分にあるか
路地上部分には、駐車スペースや駐輪スペースを効率よく配置することができますが、間口の幅には注意が必要です。例えば、接道義務としてギリギリ2メートルを確保できたとしても、現実的には3メートル程の幅がないと、駐車するときに手間がかかったり、人が通りにくかったりと、不便なことがあります。
さらに、間口が狭いと建物を建てたり、取り壊しをしたりする場合に、建築資材や重機の搬入に影響が出ることがあるので、コストが割高になる傾向にあります。
まとめ
ご紹介したとおり、旗竿地にはメリット・デメリット及びチェックポイントがあります。不整形な形状ゆえに、土地の価格が安く、静かな住環境というメリットがあり、路地上部分を活かして、さまざまなプランニングができるのも魅力のひとつです。日当たりや風通しの確保がやや難しいものの、設計プランを工夫してあげることでデメリットを補うことが十分に可能です。
ご購入をご検討の際には、お役立ていただけますと幸甚です。
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