REDSエージェント、宅建士の森山です。先日、区画整理地内の新築戸建ての売買を仲介しました。その際、お客様から区画整理についての説明を求められましたので、参考までにブログでも説明をさせていただきます。
区画整理事業とは
区画整理事業とは、都市計画区域内の土地において宅地の利用増進および公共施設の整備改善を図るため、土地の区画形質の変更および公共施設の新設や変更をする事業です。土地区画整理事業により、土地の所在・地番・地目・面積が変わるため、表題部の登記内容が大幅に変更されます。
区画整理地には仮換地と保留地があります。区画整理事業中に元の土地所有者が、新しい土地を割り当てられる土地を換地といいます。
仮換地は、換地処分を行う前に「仮」に換地を指定することをいいます。保留地は、区画整理事業を実施した際に、事業主体が取得する宅地のことを指します。保留地は所有権がなく、仮換地は移り住むものに所有権が移行しているので売買は自由です。
仮換地と保留地のメリット、デメリットとは
仮換地のメリットとしては、区画整理事業が完了する前に売却することができるため、現金化が容易であることや、区画整理事業後に価格が上昇する可能性があるため、その上昇分を得られることです。
一方、デメリットとしては、区画整理事業後に価格が下落する可能性もあるため、そのリスクを負うことになります。
保留地のメリットとしては、区画整理事業後に価格が上昇する可能性があるため、その上昇分を得られることや、区画整理事業後に住みやすくなったり周辺環境がよくなったりするため、住環境の改善が期待できることです。
一方、デメリットとしては、区画整理事業後に価格が下落する可能性もあるため、そのリスクを負うことになります。
※保留地は所有権がなく、抵当権を設定できないため、ローンで利用できる金融機関が制限される可能性があります。
※保留地については、区画整理事業が完了した段階で登記簿が作成され、事業施行者名義で初めて保留地の保存登記が行われます。そのため、保留地では、区画整理事業が完了するまでは転売ができない場合もあります。
区画整理地内の土地取引の注意点と事例
区画整理地内での土地取引にはどんな注意点があるのでしょうか。
工事期間中の土地売買は禁止も
区画整理地内では、工事期間中の土地売買は禁止されることがあります。また、事業後の制約がかかることがあります(高さ、最低限度面積など)。
また、土地の位置や面積が変わることがあります。過去の売買では約1キロ離れた場所に移動した土地もありました。方位や道路幅が変更になったり、旗竿地が整形地に変更になったり、といったこともありました。
土地清算金が発生することも
従前地と仮換地の面積により土地清算金が発生する可能性があります。区画整理地内の土地清算金とは、土地区画整理事業の換地により「従前の土地」と「換地」との間に評価上の不均衡が生じることがありますが、この不均衡を解消するためにやりとり(徴収や交付)される金銭のことをいいます。清算金は、区画整理前と後で生じた土地の価格差を埋め合わせるためのお金です。過去の売買では換地後に約600万円の徴収ありの土地がありました。
不動産取引においては、売買契約書において清算金の負担を売主、買主どちらにするか明記することが重要です。従前地と仮換地の面積があまり変わらない場合は要注意です。変わらない場合は徴収の可能性が高く、反対に大幅に減った場合は交付の可能性が高くなります。
売買価格に大幅な差も
使用収益の開始時期の差により、売買価格に大幅な差が生じる恐れがあります。区画整理地計画段階での土地も以前売買をおこないました。計画段階では使用収益が開始されていないため、いつから建築できるのかが不明でした。
仮換地予定図はあったのですが、そちらにはまだ家が建っており、立ち退きが済んでいませんでした。そのため、使用収益が開始された仮換地と違い、大幅に売買価格が下がってしまいました。
移転、移築に関する補償金について見こみ違いとなったことも
区画整理地計画段階での中古戸建も以前売買をおこないました。すでに建物等の取得価格、建物等の移転費用、建物等の再建築費用などから補償金が算定されていました。
中古戸建を購入してリフォームをおこなう予定でしたが、すでに補償金の算定が終わっているため、今後数千万円かけても補償金の対象にならないことが判明しました。
区画整理完了まで地目変更できない
区画整理地内のマンション売買についても、区画整理が完了するまで地目変更ができません。駅前のマンションでも登記簿上の地目が「農地」になっている場合は、売買するたびに農地転用届が必要になります。
換地処分後の登記手続き停止について
区画整理によって換地処分された登記簿が残り、従前の登記簿は閉鎖されます。換地処分の公告日の翌日から区画整理登記の完了までの期間は、施行区域内の土地及び建物に関する登記手続きは一時的に(3~4カ月の期間)停止されます。このため売買契約締結後、引渡しまでの間に換地処分がおこなわれますと登記が約3~4カ月できなくなりますので、その期間は引渡しができなくなります。
まとめ
区画整理地内の物件はその物件ごとにさまざまな規制がありますので、よりきめ細かな調査が必要になります。区画整理地内の物件売買は、信頼のできる業者への依頼が不可欠です。REDSは全エージェントが宅地建物取引士ですので、安心してご依頼くださいませ。
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