REDSエージェント、宅建士・宅建マイスターの森山賢治です。土地の売買をするとき、その土地が軟弱地盤であるかどうか知っておく必要があります。その理由について解説します。
軟弱地盤を曖昧なままにした売買の問題点
土地の売買契約後に地盤の軟弱性が発覚した場合、売主は契約不適合責任に基づいて買主に損害賠償を請求される可能性があります。売主は、地盤の軟弱性を知らなかった場合や、その原因に責任がない場合でも、責任を免れない場合が多いです。
なぜなら売主は契約の目的を達成できるような状態で土地を売却しなければならないためです。仮に軟弱な地盤だった場合、買主が建物を建てる予定だったならば目的を達成することができていないことになります。
地盤の軟弱だと、建物の不同沈下や傾斜などの損傷を受ける恐れがあります。また、地盤改良工事を行う必要がある場合、その費用は数百万円程度と高額になることがあります。
地盤の軟弱性は、売買契約締結時に隠れた瑕疵として認められる場合がありますが、その判断は個別の事情によって異なります。買主が地盤の軟弱性を一定程度認識していた場合や、売主が地盤の軟弱性を明確に告知した場合は、隠れた瑕疵とは認められない場合があります。
軟弱地盤にはどのようなものがあるか
軟弱地盤とは、土木・建築構造物の支持層には適さない、泥や多量の水を含んだ常に柔らかい粘土や未固結の軟らかい砂から成る地盤の総称です。軟弱地盤には以下のような種類があります。
●有機質土・高有機質土(腐植土):植物の遺体や分解物が堆積した土で、水分や空気を多く含みます。圧縮性が高く、沈下や液状化の危険性があります。
●N値3以下の粘性土:N値とは、地盤の強度を示す値で、標準貫入試験で測定します。N値が3以下の粘性土は、水分を多く含み、圧縮性が高く、沈下や液状化の危険性があります。
●N値5以下の砂質土:N値が5以下の砂質土は、水の移動が容易に行える大粒の土で、地震時には液状化現象が起こりやすいです。
●海成堆積物・埋立地:海岸平野での海成堆積物や埋立地は、粘性土や砂質土が混ざった不均質な地盤で、沈下や液状化の危険性があります。
●腐植土:谷底に形成された腐植土は、有機物が多く含まれた黒色の土で、水分を多く含みます。圧縮性が高く、沈下や液状化の危険性があります。
軟弱地盤を見分けるには
最終的には専門家の調査によることとなりますが、現地を注意深く観察することや、公開されている資料を利用することで軟弱地盤かどうかを見分けることができます。
まず、売主から水はけの良しあし、過去の水害などについて確認します。近隣からもヒアリングする必要があります。郷土資料などによっても過去の自然災害を確認できます。
次に現地を観察することで軟弱地盤の可能性を推測することができます。
①建物や塀に傾きはないか、基礎が沈下していないか、擁壁の状況はどうか
②水はけが良いか悪いか
③水田や自然の池がある公園が近隣にあるか
④堤防や水門、調整池(調節池)・ため池などの人工構造物の存在
⑤近隣に傾いた塀がある、基礎や外壁に亀裂のある家が多い
また、一般に入手できる資料としては次のものがあります。
①ハザードマップ:水害ハザードマップ、液状化マップ
②古地図:対象土地が過去にどのような使われ方をしていたかを確認できます。
③年代別航空写真:対象土地がどのような変遷をしているかを確認できます。
④地質図(日本シームレス地図):地表付近の地層や岩体を、その種類や年代等によって区別して、それらの分布や重なりが分かるようにした地図です。
⑤土地条件図(国土地理院):防災対策や土地利用・土地保全・地域開発等の計画策定に必要な、土地の自然条件に関する基礎資料を提供する目的で、昭和30年代から実施している土地条件調査の成果を基に、主に地形分類(山地、台地、段丘、低地、水部、人工地形等)について示したものです。ハザードマップ作成の基礎資料として使われています。
⑥治水地形分類図(国土地理院):治水対策を進めることを目的に、国が管理する河川の流域のうち主に平野部を対象として、扇状地、自然堤防、旧河道、後背湿地の詳細な地形分類および堤防の河川工作物当を表示している主題図です。
⑦ボーリング柱状図:各自治体のHPで公開されており、軟弱地盤を判断する資料として活用できます。
軟弱地盤が見つかった場合の対処方法は
調査によって軟弱地盤であると分かったとき、主な対処方法は以下のようなものがあります。
●地盤調査を行う:地盤の強度や改良の必要性を調べるために、専門の業者に依頼するか、不動産会社に相談しましょう。
●地盤補強工事を行う:地盤が弱いと判断された場合は、地盤を強化する工事を行う必要があります。地盤補強工事には、柱状改良工法、小口径鋼管工法、既製コンクリートパイル工法、表層改良工法などがあります。
●地盤の状態や改良の費用を明示する:地盤が弱いことを知っている場合は、売主は買主にその事実を告知する義務があります。また、地盤改良の必要性や費用の負担についても、売買契約の前に明確に合意しておくことが望ましいでしょう。
軟弱地盤はその物件ごとにさまざまな問題がありますので、よりきめ細かな調査が必要になります。信頼のできる業者に依頼をしての売買が不可欠です。弊社は全エージェントが宅地建物取引士ですので安心してご依頼をくださいませ。
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