REDSエージェント、宅建士の穗坂一也です。
東急多摩川線「鵜の木駅」「下丸子駅」「武蔵新田(むさしにった)駅」は、東京都大田区の多摩川に沿って走る東急多摩川線の中間駅です。今回は、この3駅周辺の歴史と不動産事情について解説します。
(写真はイメージです)
駅の歴史
東急多摩川線の前身である目蒲線は東急電鉄創業のきっかけとなった路線です。明治の実業家で次の1万円札の肖像にも選ばれた渋沢栄一が「田園都市構想」を掲げて洗足・多摩川台地域を宅地開発し、その地域から都心へ向かうアクセス路線として目黒蒲田電鉄を設立、開通させました。
時が流れて沿線一帯は、住宅地化が進んでも、のどかな雰囲気が漂う沿線の街並みでした。
そんな目蒲線は2000(平成12)年に東急目黒線と東急多摩川線に分割。鵜の木・下丸子・武蔵新田駅は東急多摩川線の駅となり、蒲田駅~多摩川駅間を往復する3両編成、各駅停車の路線となりました。
多摩川線の始点終点となっている多摩川駅と蒲田駅を除きすべての中間駅において、上下線ホーム、および改札が分離されており、両ホームを連絡する跨線橋、地下通路などがなく、駅構内でホーム間を往来できない駅構造です。
工場地からマンションタウンに
下丸子駅、武蔵新田駅周辺は戦時期に軍需産業地帯として発展。戦後は多摩川沿いに三菱重工業の自動車工場、キヤノンカメラ、日本精工、三井精機など日本を代表する大企業の工場が立ち並びました。
これらの工場は、当時としては技術の最先端でしたが、時代の流れとともに次々と撤退。跡地は新たな住宅用地・大規模マンション用地などに生まれ変わりました。現在、周辺は大規模な高層マンションが立ち並ぶ地域となっています。
このエリアの主な大型分譲マンションを紹介します。
昭和末期から平成初期の大型分譲マンション
- 東急ドエルアルス多摩川:武蔵新田駅 徒歩13分、1987年築、総戸数461戸
- 多摩川ハイム:武蔵新田駅 徒歩11分、1981年築、総戸数272戸
- パークハウス多摩川:鵜の木駅 徒歩7分、総戸数575戸
平成中期の大型分譲マンション
- シエルズガーデン:下丸子駅 徒歩12分、2003年築、総戸数486戸
- ブラウトリエ:下丸子駅 徒歩9分、2003年築、15階建、総戸数428戸
- 東京サーハウス:下丸子駅 徒歩11分、2003年築、15階建、総戸数758戸
- ザ・リバープレイス:下丸子駅 徒歩8分、「鵜の木」駅徒歩10分、2004年築、総戸数962戸(3つのタワー棟、3つのコート棟合計)
平成中期のマンションは地震にも洪水にも強い
上記の平成15年前後に建設されたマンションは敷地が多摩川沿いに面しているため、国土交通省の『高規格堤防』整備地区として指定、整備されています。高規格堤防(堤防の高さとマンションの敷地の高さが等高でなだらかな傾斜に整備されている)の整備と併せて建築。堤防の幅を非常に広くして破堤を防ぐ高規格堤防は、地震にも強く、万が一計画を超えるような大洪水が起きた場合でも、水があふれることはあっても壊滅的な被害を避けることができるとされています。
このように、下丸子駅・武蔵新田駅周辺は戦後の工場地化から住宅地化へと大きく変貌を遂げ、その歴史は日本の高度経済成長とともに歩んできた象徴的な地域といえます。いずれも大規模工場跡地が大型マンションに変貌した一例ですが、ほかにも数多くのマンションが立ち並んでいます。
ドラマ下町ロケットの舞台
池井戸潤さん原作の小説『下町ロケット』が2015年にテレビドラマで放送されましたが、ドラマの中の「佃製作所」ロケ地となったのが武蔵新田駅から徒歩14分にある精密金属部品メーカーの『株式会社桂川精螺製作所』という工場です。
現在、工場と本社機能は新社屋となりましたが、その敷地の一部はマンション『ザ・ガーデンズ大田多摩川』(2020年11月、総戸数378戸、地上14階建)となっています。
周辺の住環境の魅力
東急多摩川線沿線は、住環境の観点から見ると魅力的なエリアです。以下にいくつかのポイントをご紹介します。
●自然との調和:多摩川沿いに位置しているため、自然環境が豊かです。散歩やジョギングに最適な河川敷があり、四季折々の風景を楽しめます。春には多摩川河川敷の桜並木が咲き誇り、お花見の方でにぎわいます。秋にはガス橋通り沿いのいちょう並木が秋を知らせます。
●都心へのアクセスの便利さ:東急多摩川線は、都心へのアクセスが良好です。蒲田駅を経由してJR京浜東北線で横浜品川方面へ、多摩川駅を経由して東横線目黒線で都心方面、横浜方面など、主要駅へのアクセスがスムーズであり、通勤・通学に便利です。
●不動産価格のバランス:一戸建てやマンションの価格帯は幅広く、ご予算に合わせて選択肢が豊富です。
●生活施設の充実:複数のスーパーマーケットや飲食店、公園などがあり、日常生活に必要な施設がそろっています。
総じて、東急多摩川線沿線は、自然と都心の利便性を両立させた住みやすいエリアといえるでしょう。
蒲蒲線(新空港線)計画、羽田空港へのアクセス
東急多摩川線には、蒲田駅から1つ目の駅の矢口渡駅から多摩川線を地下化し、京急蒲田駅の地下、JR・東急蒲田駅の地下を通り、大鳥居駅の手前で京急空港線に接続させる計画が具体的に進行中です。
約800mのJR・東急蒲田駅~京急蒲田駅間を鉄道で結ぶことで、大田区内の東西方向の移動、羽田空港へのアクセスが便利になります。さらには東急東横線や東京メトロ副都心線などとの相互直通運転も計画されていて、これにより羽田空港が渋谷・新宿・池袋の都市や埼玉県方面とつながります。
広域的な鉄道ネットワークとすることも計画されており、鵜の木駅、下丸子駅、武蔵新田駅周辺の住環境はさらに向上するでしょう。
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