「契約上の過失」とは、いまだ契約が成立していないものの、その交渉の過程において相手方に損害を発生させた場合に、不法行為として、相手方に対し、その損害を賠償するべき責任が生じることを言います。
契約に当たって、調査・報告、配慮、注意などの義務を怠ったことにより、契約が不成立または無効となって不測の損害を与えたときに、民法で規定する信義則に違反したとして、損害賠償の責任を負うことになります。この考え方は、判例によって確立しており、損害賠償の範囲は、契約が有効なものと信じたことにより被った損害(現地検分の費用、銀行融資の利息、改修などに要した追加費用など)とされます。
例えば、売主に調査・告知義務違反があり損害を与えた場合(例えば、隣地の高層マンション計画の不告知によって生じた日照障害)、契約の準備段階で注意義務違反があり契約締結に至らなかった場合(例えば、相手に誤信を与えて取引予定の建物が改修されたが契約締結に至らなかった場合に、誤信を与えないようにする注意を怠ったとされたケース)などがその例になります。
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