REDSエージェント、宅建士の有馬です。
委託を受けて不動産などの資産の形成、運用、保全を行なうことをアセットマネジメントといいます。投資家やオーナーに代わって不動産の総合的な資産管理を行い、その価値を最大化することが主な業務です。
その際に重要なのは、投資目的に沿ってリスクとリターンをコントロールすることであり、投資内容や投資先の分散、投資期間の設定など工夫が求められます。不動産を組み込んだアセットマネジメントにおいては、投資不動産の選定や売買だけでなく、不動産の収益性を左右する賃料の設定、テナントの選定などの業務にも関与します。
今回はアセットマネジメントについて解説します。
アセットマネジメント8つの業務
アセットマネジメントの業務は以下の8つに集約されます。
1.運用計画
以下の3つの主要項目からなる運用計画書を年1回作成し、オーナーに提出します。
①ビル運営に関わる全ての収入(賃料、共益費、取立て水光熱費等)・支出(建物管理費、修繕費、水光熱費、公租公課など)を推計し、1年間から5年間程度の月次・年次のキャッシュフロー、営業純利益などを算出
②マーケットリサーチ(情報収集)を行い、営業戦略を立て、戦略に沿って募集条件(募集単価、契約形態、契約期間など)や緩和条件(時期の見極め、下限値、フリーレントなど)を織り込んだリーシング戦略を立案
③予防保全(建物の価値を維持するために、計画的に行うメンテナンス。エレベーターや消防設備、給排水、空調、電気設備などを含む定期点検が中心)計画、事後保全(定期点検に含まれる設備や外壁、共有部分の故障などが発生した際に都度行う修理・改修)計画、予防保全の一環としての長期修繕計画の立案
2.運用報告
運用計画書に基づいて運用した結果を3カ月から半年ごとに、以下の内容を含む運用報告書を作成し、オーナーに報告します。
①キャッシュフロー・営業純利益等の実績
②賃貸借契約の一覧(レントロール)
③予防保全・事後保全・長期修繕計画の実施一覧
④管理費・工事費等の支払明細
⑤テナント要望や事故苦情・トラブル等の内容、定期的に必要な検査の実施状況と問題点の有無、諸官庁からの要請事項や対応状況
3.資金管理
以下の内容を含みながら資金の入出力を管理し、結果をキャッシュフロー表に反映し、オーナーに報告します。
①テナントへの賃料等の請求・精算
②請求書の取りまとめ、資金移動・支払事務
③利益の配当・出資金の払戻
4.テナント管理
テナントとの契約関係を維持することを目的に、以下のような業務を行います。
①入居時・賃貸借契約更新時の賃貸条件の交渉、契約手続
②賃料等入金期日の管理、入金明細作成
③賃料延滞時の督促・回収
④要望・苦情への対処
⑤内装工事等の内容審査・工事立会い
⑥退去時の原状回復等の手続、敷金・諸経費などの精算
5.リーシング管理
リーシング管理とは運用計画で立てたリーシング戦略に基づいて、以下のような業務を行うことです。
①リーシング活動のコントロール:引き合い状況・マーケット状況により臨機応変にリーシング活動のコントロールを行うことが重要
②賃貸仲介専門業者と親密な関係を築く:リーシングにおいては、賃貸仲介専門業者が大きな役割を果たすため、賃貸仲介専門業者と親密な関係を築くことが重要
③条件交渉:テナントからの契約賃料、フリーレント、レントホリデー、ステップアップ賃料、契約期間等の付帯条件交渉の対応
6.商業施設運営
商業施設の場合、テナントの売上に連動して賃料が変動する形態の契約が行われる場合も多いため、テナントの売上増加を目的に、以下のような業務を行います。
①販促(プロモーション)活動
②テナント管理(売上管理、売上向上のための各種サポート・指導、テナントミックスなど)
③施設管理(施設の改装・大規模修繕・日常管理)
④飲食、物販などの出店業者へのダイレクトアプローチ
7.建物運営管理
建物を快適に安全に利用するために維持・管理することを目的に、以下のような業務を行います。
①建物、設備の管理・保守点検:昇降機設備、電気設備、冷暖房設備、空調・換気設備、給排水・衛生設備、消防用設備
②保安警備:常駐警備、巡回警備、機械警備
③清掃業務:清潔さを保つ日常清掃、日常清掃では網羅しきれない特殊な汚れや箇所に対する定期清掃
8.建物修繕管理
現物資産である以上、建物は必ず劣化します。そこで「1.運用計画」で立てた予防保全計画、事後保全計画、長期修繕計画に基づいて、建物を維持・管理し資産価値を守ります。
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